中南米産地からの生豆調達を担当しております、江藤です。いつまで暑さが続くのかと思う間もなく、9月に入ってからはすっかり気温もさがり、完全に秋めいてまいりました。今週は、秋冬のコーヒー需要期に向けた新商品、

「ジャマイカ ブルーマウンテンNo1 Cinchona 農園 Re-Discovery」の開発経緯について、お伝え致します。

ジャマイカを担当するようになったのが2013年。かれこれ5年になりますが、その間、価格は山を駆け上り、急速に転落するかのような乱高下があり、その相場の不安定さと、そもそもの供給貨物の減少もあり、かなり調達には苦労して来ました。

「ブルマンなら価格が上がっても消費者はついてくる」と奢ってしまったコーヒー業界に冷や水を浴びせるかのように、価格が下落し、供給が戻っても、ブルーマウンテンコーヒーの市場は低迷しており、兼松としても危機感を感じずにはいられません。何とか、そんな市場に活気を取り戻すための新たなアクションが出来ないかと考え始めたのが、昨年秋ごろからでした。

そんな頃、今回の新商品を提供する輸出業者・Jamaica Coffee Corporation社が保有するStoneleigh工場のマネージャーであるStephen Shirley(ステファン・シャーリー)氏から、「ブルーマウンテンを良くするためのヒントを得るべく、他の産地を見てみたい」という要望がありました。兼松の生産国パートナー同士がお互いの生産事情や情報交換をするような橋渡しの機会は以前から各地で設けていたので、彼の要望を快諾し、昨年11月に一緒にグァテマラとコロンビアを訪れました。

ジャマイカ.png(グァテマラのアンティグアで乾燥中のパーチメントをかじる、Stephen)

他産地から様々なインスピレーションをもらいながら、行く先々で多くの話をし、行きついた観点。ジャマイカのジャマイカたるポイントは何か。

*語り継がれるブルーマウンテンコーヒーの特徴であるバランスの良さをより際立たせるためには何ができるか。

*ジャマイカの象徴ともいえる樽に、何か新たなものを施すことが出来ないか。

この2つのポイントにおいて何ができるかを、2017/18年クロップでの商品開発の目標としました。

まず豆の品質に対して。

これについては、安易に栽培方法や精選方法を変えるというのはなかなか難しいため、すぐに着手出来て、かつ従来品との違いの有無を感じやすいものとして、生豆の選別精度に着眼。基本的にはどこのドライミルでも最後に入念なハンドピックを施すため、欠点混入率が少ないのがブルマンの特長です。しかしいろいろ話を聞いてみると、かつてブルーマウンテンの輸出規格は、スクリーン19up以上であったことが分かりました。今の規格である17upは、篩ってみると19以上が約20%、18以上が40%、17以上が40%弱、17から落ちるのは1%以下、というようなざっくりとしたサイズ構成。この中の19だけをより分けることが出来れば、大粒の良く育ったチェリーだけから生まれた見栄えの良い豆として、何か特徴的なカップが得られるのではないかと、仮説をたてました。

次に樽に対して。

木目が前面に出た従来の樽は、注意して見ていると日本各地のレストランや喫茶店にけっこう点在しています。中には真新しいものもあれば、長く日を浴びて焼けたような年期の入ったものもあり。でもふと思ったのが、なんで他の色にペイントした装飾樽が存在していないのか、という素朴な疑問。Stephenに聞いてみると、「樽は樽のままで出すことしか今まで考えたことがなかった、それが、政府が定めた今までのルールだから」という回答。当たり前すぎることにはなかなか疑問がわかないのは、まあよくあること。でも、ブルーマウンテンの輸出量が減少すれば、国の産業にとっても痛手であるはずだし、ブルマンの需要再興に向けた前向きなプロモーション的アクションであれば、国も前向きに検討してくれるのでは?という根拠のない楽観論から、現地公社に掛け合ってみました。すると、樽に無用なペイントをすれば、その塗料が中で保存してある豆に悪影響があるのではないか?との反論。確かに、その懸念はある。でもそれを言ったら大なり小なり樽にはロット番号やら何やらが既に樽にインクでペイントされているのだから、塗ってからしっかり乾燥させ、かつ中身に色移りすることがないようにしっかり内袋を入れれば、それほど大きな問題はないのでは?という仮説のもと、新穀収穫から出荷まで、保存試験が行われました。結果、少なくとも半年ほどの試験では何の問題も発見されず、数量限定で、色塗り樽の出荷許可を取得しました。もちろん、保管期間が長くなることでの影響の有無を見るにはもう少し時間をかけなければいけないし、闇雲にペイント樽が出回って何か問題があってもいけないので、この特別樽での取り扱いは、Jamaica Coffee Corporation社と兼松の2社だけが、まずは1ロットの出荷だけ許可されることとなりました。

そしてお目見えしたのが今回初入荷の「ジャマイカ ブルーマウンテンNo1 Cinchona 農園 Re-Discovery」。特に樽の外観については、ジャマイカでコーヒー産業公社が設立されて以来、歴史上初めての貨物。ブルーマウンテンという昔ながらのブランド名にかまけるのではなく、兼松なりの新たな価値を付加しながら今後のブルーマウンテンコーヒー市場の発展につなげたいという、意欲的な商品。これを、是非皆様に!

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ジャマイカ ブルーマウンテンNo1 Cinchona 農園 Re-Discovery

(兼松・江藤)