<日程>
2011年8月21~23日 (Goroka)Awute、CIC
2011年8月23~25日 (Mt. Hagen)WR Carpenter

<概要>
【経済概要】

パプアニューギニアは6.5百万人、天然資源は豊富だが国民の収入レベルは低い。
石油ガス及び鉱物資源がGDPの30%を担うが、このセクターでの雇用カバー率は極めて低い。
2005年以降の天然資源原料高ブームの恩恵を受け、高い成長率を誇ってはいるが、人口のおよそ半分の生活は最貧レベルにある。天然資源主導の経済成長は、貧困の解消には寄与していない。

人口の86%は都市部とのアクセスも無い山間部に住み、自給自足に近い形の生活をしている。
農業セクターはこの国のGDPの3番目の位置付けにあり、小農家スタイルである。

コーヒーはココアと並んでメインの換金作物であり、農村部就労人口のうち、コーヒーで30%、ココアで20%の雇用が拠って立つ。市場へのアクセスの良い場所においてはFOB Valueの約70%に相当する現金が小農家に還流している。近年ではこうした小農家であっても、冠婚葬祭や贈答、社交等の用途にて、現金へのニーズが高まりつつある。

【同国の歴史】
第一次大戦前までは、オランダ、ドイツ、英国(後にオーストラリアにとって替わる)がつばぜり合いを展開する島であった。第一大戦後、西半分をオランダ、東半分をドイツ勢力を駆逐した豪州が占領することになる。

第二次大戦中、北東部ラバウル、ラエから侵攻した日本軍は首都ポートモレスビーの50km手前まで肉薄したが、連合軍の抵抗に合い敗走を開始する。
戦後、国連の支援のもと1963年にオランダ領だった西半分がインドネシアとして、1975年にオーストラリア領だった東半分が正式に独立を果たした。

【コーヒー生産概況】
年間生産量1.0百万袋。コーヒーは国全体として、とりわけ僻地での主要産業として重要な位置付けであり、その90%がWestern Highlands、Eastern Highlands、Jiwaka、Chimbuの4州からの生産で賄われている。

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そうした重要な位置付けにもかかわらず、この国のコーヒー生産効率は悪く、ポテンシャルの30~50%程度しか発揮されていないといわれている。主因はリハビリテーションの不足。
樹齢40年の樹が大勢を占めると言われているこの国で、農家への助言・支援は著しく不足している。

一方で、かつては一部で隆盛を誇った大農園形態も企業の撤退が相次ぎ、現在残るはSigri農園で有名なWR Carpenterのみといって良い状態である。
ちなみに今年(10/11crop)は昨年の準備期の開花がバッチリで豊作であり、1.2百万袋と見通されている。

【弊社としての注目点】
弊社としては、他の生産国と比べてこの国の持つ優位性は以下の4点にあると考える。
さらなる現地企業とのパートナーシップ強化を進める方針。

(1)味が良い
カップがエキゾチックかつマイルド。
日本人向きと言え、かつ同じ中庸のブラジルとは一線を画す、特色あるフレーバーを持つ。

(2)品種が良い
樹のリハビリテーションの遅れが逆に幸いし、ティピカ、ブルボン等の原種が多く残っている。

(3)標高が高い
主産地の都市部Goroka、Mt. Hagenともに標高1,500m~1,600mであり、生産地は全体的に標高が高く、低い産地産の物が存在しない(=混ざらない)。
かなり奥地まで入ると、1,800mに近い生産地もあるが、セスナでしか入れないなど、アクセスが無い為に放棄されている樹が無数に存在する。

(4)日本向け少数
日本市場には、ボルカフェジャパン、ECOMジャパン等のマルチナショナル勢がPNGグループ会社の玉をネスレAGF向けに入れている、またSigri農園産Specialtyをボルカフェジャパンが入れている以外は、Player少ない。

【訪問・視察概要】
■8/22 Coffee Industry Corporation / CEO Mr. Navi Anis 面談

Coffee Industry Corporation(CIC)とは・・?
CICは1991年、CIC法によってパプアニューギニア政府が設立した機関である。
Coffee Board、小農家協会、及び輸出業者協会の3組織を統合する形で発足した。
Boardは12名で構成されており、政府からは農業畜産省、財務省、通産省、民間サイドからは小農家の代表、大農園の代表、精選業者及び輸出業者の代表で構成されている。
コーヒー農業の普及振興、農事技術の教育啓蒙、内版や輸出における規制、マーケティングを機能としている。

*PPAP(PNG Productive Partnership in Agriculture)
総額US46.3Million、期間2010年6月30日~2016年6月30日、コーヒー・ココア産業のバリューチェーン強化を通した小農家経済の生活レベル向上を目的とする世銀のプロジェクト。
CIC、ココアボードが融資の受け皿となっている。


■8/22 Awute Coffee Producers Ltd / Managing Director Mr. Hooke Awute

2度目の訪問である。彼ら夫妻が昨年11月に来日して以来の再会となった。
昨年取扱高26,000袋、今年取扱高着地50,000袋予想。
工場の拡張も完了し、業績は順調に伸ばしている様子が見て取れた。
ドライパーチメント買い付け価格は5.50Kina/kgであった。('11 8/22時点)

パプアニューギニア アウテ

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旧建屋とDavid 新建屋とハンドピッカー女工(右はResting中パーチ)
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お馴染みのアウテ夫妻 天日乾燥場とWorker達。基本的に天日100%。
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Bird of Paradise Flower : 本当に鳥の様に見える。ブランドロゴに使えると思料。


■8/23 W.R. Carpenter Estates / Sales Manager Mr. Sherwin Gomes

結論から言うと、この会社は世界でも屈指の恵まれた環境下で、非常に優れた農園経営をしていることがわかった。特にWet Millでの精選、パーチメントでのレスティングについては手間をかけていて、優位性の説明点には事欠かない。

=W.R. Carpenter Estates概要=
同社のロケーションは、Western Highland ProvinceのMt. Hagenにあり、一方でAwute Coffee社はEastern Highland ProvinceのGorokaにある。
この二つのProvinceでパプアのコーヒー生産の実に82.7%(2009年)を占める同国生産集積地である。

=同社の歴史=
WR Carpenter (PNG) Limited及び現在あるSigri大規模プランテーションは、1950年代にオーストラリア人によって設立された。
その後、マレーシアの海運グループMBf が買収。現在に至る。

MBf傘下企業の中で、WR Carpenter (PNG)グループは、自動車、IT部品、通信、畜産、海運等の事業をPNG内部で行う一大コングロマリットである。
コーヒー・茶事業を担当するのはHighlands Estates社であり、Mt. Hagenを周辺に、1.Sigriをはじめとして、2.Bunub Wo、3.Kinden、4.Kigabah、の4農園を運営している。
また周辺農家(Out Growers)からのチェリー買付・農事指導も必要に応じて行っている。
茶も広く栽培しているが、味のキャラクターが薄く価格競争力もスリランカに比べて弱い。

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右からSigri農園責任者Karune(インド)、輸出責任者Sherwin(スリランカ)、小生。
<WR Carpenter (PNG) Limited Highlands Estates社農園一覧>

面積 標高 収穫量 WET DRY 歩留
Sigri 150 1,500~1,600
Bunum Wo
Kindin 326 42,000 ×Bunum Woにて 1,400kg/Ha
Kigabah 107.7 ×


=同農園の特徴と同社のAgricultural Practices=

・まず、土壌が豊かである。苗から移して1.5年で150cm位の高さにまで成長する。
 これは、一般的に他の生産国ではありえない驚異的なスピードである。

・降水量はいずれも2,200mm/year前後であり、激しい乾期もなく、常に潤っている。

・その為圃場には排水溝が深く適切に配置されていた。

・雨が多く土壌の水はけが悪いが故に農園内に湿気高く、菌糸類の問題は裏表である。
 排水溝の徹底、マルチの実施等で対応しており、Fungicidesも使用。

・除草剤もRound up(Griphosate)を使用。

・品種はティピカ100%である。『歩留まりを追いかけると味が落ちることを知っている。』

・NPK、Uria施肥。

・ベリーボーラーのリスク低く、定期的な殺虫剤の散布というものは無い。対症療法。

・シェードツリーにカシュリニアを40 x 40 feetにて植えている。
 これはマメ科で窒素固定するので土壌に資する。

・コーヒーの樹のspacingは8(畝間)x 5(樹々間) feets つまり2,700本/Ha 。

・アゴビアダシステムを使用している。  
 1年目の時点で幹をベンドさせ、その曲がった幹から垂直方向に3つの枝を伸ばし、マルチステム
 に持っていく。 『8 x 5のスペーシングでマルチステム、これが理想なのだ。』

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・スタンピングor カットバックはしない。25年くらい経過した区画は完全に植え替える。
 カットバックではルートシステムは古いままで生産性の根本的解決にはならない。
 現金収入が惜しい連中がとる手段だと考えている。

・Wet Millに使用する水も大変豊富である為、水洗工程は非常にリッチな仕立てである。

  1. パルピング+Wash
  2. 発酵12時間-1
  3. Wash
  4. 発酵12時間-2
  5. Wash
  6. Soaking20時間

074-photo09.jpg ←見えにくいが、水は綺麗で豆が沈んでいる。

このSoaking工程によりアロマが増幅され、パーチメント内の全ての残留物は水に浸透して流されるという。(小生はMedina以外ではじめて見た。) 最後のSoakingだけでなく、発酵を12時間毎に半分に分けて間に洗浄を入れるとは、なんとも贅沢な水と時間の使用である。排水処理についても一角で行われていた。

・ドライは100%天日乾燥である。
 このエリアは雨が多く、その為、機動的に開閉できるビニールシート方式が最も効果的であるとのこと。
 乾燥機はあるにはあるが、滅多に使用しない。

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・パーチメントにしてからの保管が優れている。
 まず、SigriのドライミルはHACCP認証であり、足を洗浄する場所がある。

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ドライミル内は塵が一つも無く、よく清掃されている。
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パーチメントは最低でも3週間寝かせる。
Sgiriはコンクリート壁、Bunomu Woは木壁のサイロで、下は金属メッシュの
ベンチレーション機能がついている。
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・客のオーダーに応じて脱穀・グレーディング、バルキング(ブレンド均一化)し出荷。
・チェリー買い付け価格は1.30Kina/kgであった。('11 8/24時点)