今回は、ナチュラルフードの都であるアメリカ・ポートランドを凝縮したような日本食レストラン「Chef Naoko」を特集します。

107-photo01.jpg 「Chef Naoko」のオーナー・田村なを子さんが、ナチュラルフードの宝庫ポートランドに惹かれて渡米、自分の店をオープンしたのは5年前のこと。

「Natural & Organic」をコンセプトに、限りなく自然に近い状態で育った素材とその素材が持つ効果効能をできるだけ壊さないで作る食事「自然食」の提供、そして、なかなか家庭では作れない手の込んだ本格家庭料理「Home Cooking」の提供を目指しています。
一貫して、生産者の顔の見える素材、自然食素材にこだわり、生産者の元に足繁く通い、納得のいく原料だけを買い求めています。  

始めこそ、その看板や謳い文句に疑いを向ける者も少なくありませんでしたが、そこはやはりナチュラルフードの都、5年という年月を重ねるにつれ少しずつ理解は広がり、今では信者とも言うべきリピーターを多く抱えています。


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そのホッとするランチメニューに惹かれてやまない日本人が多いのは言うまでもありませんが、意外と多くのアメリカ人が器用に箸を使い、談笑しながらゆったりとランチを楽しむ姿が見られます。

本格的な日本食でありながら、上手くポートランドの素材や人々の好みを取り入れた「Chef Naoko」流が根付いている証左でしょう。

お店はランチタイム限定で、その他は、なを子さんの哲学に共感する人々がオーダーするケータリングのみ。

ケータリングは、ある程度作り手側にメニュー選定が任されるし、一度に数十人分の料理を大量調理できるので、まとまった数量をお互いに無理のない価格で生産者から一括購入でき、生産者→料理人→消費者の「地産地消」、「サスティナブル」が機能しやすい形態です。

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居酒屋化するディナータイムは営業せず、酒も出しません。ポリシーに共感した者だけがリピーターになり、通いつめます。

ほぼ全ての原料を吟味し、有機中心で揃えているのですから、当たり前ですが値段は決して安くありません。お得な定番チキン弁当こそ13ドルですが、それ以外の定食はほとんどが15ドル以上、味噌汁などサイドメニューを付けると、チップ込みで20ドル弱。

最近の私のお気に入り、PORK BUTT GINGER(いわゆる、豚の生姜焼きですな)は、15ドルですが、十分それに見合う出来栄え。これほど完成度の高い弁当がアメリカで食べられること自体が感動です。
107-photo04.jpg そもそも、なを子さんがこのようなポリシーを持つに至ったのは、ご本人の幼少時代に起因します。

なを子さんは東京生まれの東京育ち。幼少の頃はとても体が弱く、食べ物に敏感に反応する体質でした。
それを案じたお母様が自然食をメインに食事をお考えになったのが始まり。
それ以来、自然食で育ち、自然食が当たり前の環境の中、食べ物に強い関心を持つようになったのは自然の流れでした。

料理だけでなく、素材の由来にまで興味を抱き、10年にも及ぶ農園生活も経験しました。
その生活の中で、農薬や遺伝子組み換えなどの実態も目の当たりにし、理想を追い求めることの難しさも痛感したそう。その意味では、実態も知らずして有機だ非遺伝子組み換えだと唱える料理人とは一線を画します。

本来、料理人とは料理方法に精通するだけでなく、素材の由来や出所、つまり農業についてもよく理解しておく必要があるはず。 我々商社マンも、ただ単にTradingだけに精通し、その商品の生産背景に疎い人間は、片手落ち。心せねばなりませんね。