前回のポートランドに引き続き、今回はシアトルのカフェ&ロースター事情をレポートします!

【Stumptown Coffee Roasters】
http://stumptowncoffee.com/
098-photo01.jpg 再三名前が登場する、ポートランド発祥のロースター兼カフェ。本拠地のポートランドに5店舗を構えますが、こちらシアトルにも2店舗を持っています。

そのひとつである「12th店」の方に焙煎機を持ち、シアトル近郊の流通の拠点としています。こちらの焙煎機は、
ポートランドのように店内入り口から見渡せるような場所にはなく、地下1階にひっそりと置いてあります。ただ、誰でも見学できるというスタイルはポートランドと同じです。

自分達の店舗で提供するのみならず、近郊の外食店舗やスーパーマーケットへの配送拠点にもなっていますが、ここではセミナースペースのような部屋も備え、Stumptownのコーヒーを使用したいという外食店・カフェの人間に簡単な講習会も開いているそうです。

ここでも、地域密着で誰もが楽しめるスタイルが脈々と流れていました。
扱っているシングルオリジンの豆はポートランドの店舗とも同様の品揃えでした。
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【Caffe Vita】
http://www.caffevita.com/
098-photo05.jpg 1995年にシアトルで創業したロースター兼カフェ。
ワシントン州周辺に9店舗のカフェと、ニューヨークにロースターを備えたカフェも持っています。
カフェで提供するのみならず、近郊の外食店舗やスーパーマーケットにも焙煎豆を供給しています。

シングルオリジンでは、スマトラのGayo River、ルワンダのDukunde Kawa、エチオピアのYirgacheffe、グァテマラのFinca Nuevo Vinas、パプアニューギニアのYUS、コロンビアのLos Cauchosを扱っていました。
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【Victorola Coffee】
http://www.victrolacoffee.com/
098-photo08.jpg シアトルのダウンタウンよりやや東の丘の上にある、後にカフェの聖域的通りと呼ばれるようにもなる15th Avenueに2000年に創業。

近隣住民の集う場として開業し、後にこの通りにはいくつものカフェが軒を連ねるようになります。

15th Avenueよりややダウンタウンよりに下った場所にロースター兼カフェを持ち、ここでは毎週水曜日の午前11時にオープンカップを行っています。
シアトル内にカフェは全部で3店舗かまえています。

シングルオリジンは、コーヒーネットワークでも取り扱ったことのあるグァテマラのLa Joya、コロンビアのHuila Monserrate、タンザニアのNzozu Indundaなど。
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訪問時にドリップを入れてくれた店員は、今回のSCAAのバリスタチャンピオンシップに出場したとのことですが、残念ながら入賞はできなかった様子。

ただ、ドリップの淹れ方について真摯に教えてくれる様は本当にコーヒーが好きなんだなあという熱い思いを感じさせてくれましたので、その様子を是非動画で感じてみてください。


【Espresso Vivace】
http://www.espressovivace.com/intro.html
098-photo12.jpg 1998年にオープン。イタリアのエスプレッソバーの趣が強いこちらのカフェでは、メニューもドリップ系のものは置いておらず、また豆もシングルオリジンの展開をしておらず、エスプレッソ用の自社ブレンド品のみでした。
そういう意味ではいわゆるシアトル系といった流れを組むカフェであると言えます。

抽出やラテアートといったバリスタの腕には地元でも定評がある模様です。

シングルオリジンもドリップもおいていなかったので、今回のカフェ巡りにおいて最初で最後となるカフェラテを注文しました。
シアトルやポートランドの他店のカフェラテと比べていないので何とも言えないのですが、そのきめ細かなミルク感や香り高いエスプレッソ感は、少なくともかつて日本で飲んだことのあるカフェラテとは全く異なるものであり、さすがは本場シアトルといった印象を強く持ちました。ドリップにばかりこだわらず、他の店でもカフェラテ飲んでいればよかったと、若干後悔した次第です。
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【Roy Street Coffee & Tea】
http://www.roystreetcoffee.com/
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2009年にオープン。
"Starbucks Inspired"と店のドアに書かれている通り、スターバックスの実験店舗です。
コーヒーメニューはスターバックスと全く同じものを扱っているものの、それ以外にも各種お茶や、特にフードメニュー、アルコールの充実で特徴を出している業態です。

コーヒーについては従来のメニューにとどまらず、豆を選択し、それから淹れ方(Pour Over、French Press、Clover)を選択するというスタイルのものも提供しています。
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【Seattle Coffee Works】
http://www.seattlecoffeeworks.com/
098-photo18.jpg 2008年にオープンした自家焙煎兼カフェ。
シアトルに1店舗だけのようです。

店内には"Coffee MANIFESTO"なる看板をでかでかと置いてあります。
ダイレクト・フェア・サステイナブルな原料購入を主旨とする"SOURCING"、甘さとボディを最大化するためにライト~ミディアムの焙煎を基本とする"ROASTING"、コーヒーの味を最大限活かすための器具を用いる"BREWING"、そして焙煎後7日以内の豆しか使わないと示す"SELLING"の、全部で4つのこだわり項目を掲げていました。

店内で淹れるコーヒーにシングルオリジンものはありませんでしたが、持ち帰り用の豆では、ペルーのPiura Cepicafe、エルサルバドルのSanta Sophia、ルワンダのDukundekawa Musasa、インドネシアのSulawesi Torajaといった銘柄を置いていました。
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店内には、すぐそばの猟師市場的なパイクプレースマーケットで働いていると思われる、いかつい風貌の男性二人組みがいるかと思えば、その傍らには新聞片手にのんびり息をつくおばあさん、果てはレゴブロックを広げて遊ぶ子供達と、何とも幅広い層のお客さんが好きなように時間をすごしている光景が見られました。
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【Evolution Fresh】
http://www.evolutionfresh.com/en-us
30年以上の歴史を持つ、カリフォルニア発祥の高級ジュースブランド。

元は小売商品をスーパーマーケット等で販売していた企業でしたが、2011年に3,000万ドルでスターバックスが買収。
オープン間もない専門店一号店を訪問しました。
ちなみに店内は撮影禁止でしたので、外からこっそり外観だけ撮影しました。
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入り口すぐ左手にあるカウンターで、まずはジュース(8oz US$4.99、16oz US$7.99)、もしくはスムージー(16oz US$6.99のみ)を注文し、目の前でミキサーにかけて提供してくれます。
ただ、ベースのジュースは一部出来合いの感じで、全てを店頭でフレッシュから絞るわけではありませんでした。

店内奥の別カウンターでは複数の野菜が並んでおり、お好みの具材でサンドイッチやサラダも作っていました。

アメリカ在住3年の弊社駐在員曰く、フレッシュジュースやスムージーをメインとするチェーン店は米国内でもいくつかあるものの、このEvolution Freshはちょっと値段高すぎでは?とのこと。
今後店舗を増やすつもりなのか、あくまでもパイロットショップ的な見せ場にとどまるのか、今後の動向に注目したいところです。

一番人気というマンゴーのスムージーはりんご、パパイヤ、パイナップルをミックスしたものでしたが、どうも味が薄くスムージーの割にはやや水っぽい感じ、フルーツ感にやや欠ける代物でした。 元来の商品であるボトル入りのジュースは、スターバックスの店舗でもけっこう販売されていましたが、いずれも450ml入りでUS$3.95~5.95/本と、これもなかなか立派なお値段でした。


【Starbucks】
098-photo23.jpg 最後にスターバックス。
1971年にシアトルにオープンして以来、実に40年を経たことになりますが、世界55カ国、17,000店舗を擁すマンモス企業のお膝元であるからこそ、ここに至るまでに回ってきたような小規模なカフェが、その巨大化に抗うようにして生まれてきたのだとうなずける気がします。

パイクプレースにある第一号店は、カウンターのみのテイクアウト専門店となっていますが、壁際には一号店記念商品がずらりと並んでおり、もはやディズニーランドの土産店と変わらぬような観光地と化していました。

そして店内にも、他のカフェでは全くお目にかかることのなかったアジア人観光客であふれかえっていました。
(そうは言うものの、一応の業界関係者である兼松社員の私も、外から見れば立派に溶け込むただの観光客となんら変わりはなかったかもしれませんが。)

パイクプレースマーケットの雰囲気は、何となく移民が開拓したかのようなヨーロッパの猟師町風の赴きがあり、スターバックスはそこで働く人々に故郷を思わせるヨーロッパテイストのエスプレッソを出したことから始まったのだろうなと想像させるほどの、他のアメリカの都市とはどこか違う雰囲気が漂っていました。

その一号店から数分離れた箇所に、業界から「スタバもサードウェーブを始めた」と言わしめる店舗もあり、そこでは「Cloverで淹れています」との看板をでかでかと掲示していました。

そこではもちろん通常のスタイルがメインではありますが、スタバ特選シングルオリジンである"Reserve"の豆をCloverで淹れることをひとつの売りとしています。

また、前述したVictorola Coffeの近所にあるスターバックス「15th店」では、他店舗とはやや様相が異なっており、茶、Evolusion Fresh のジュース、そして上述の"Reserve"ブランドとして展開するシングルオリジンのコーヒーから、果ては複数のアルコールまで揃え、次世代スタバといった雰囲気のつくりでありました。
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"Reserve"ブランドは一部日本にも入ってきていますが、この「15th店」ではかなりの種類が置いてあり、エチオピアのHarrarやOrganic Sidamo、ハワイのKona、グァテマラのAntigua Santa Catalinaなどの銘柄が置いてありました。

◆シアトルでの所感

ポートランド、シアトルの2都市を回り、改めて感じたのは、どこも一見すると似たり寄ったり、でもそうでありながらもどこか異なる、それぞれが自分達の好きな豆を好きなように焙煎し、そして淹れるというスタイルが本当に自然に定着している地域であると感じました。

それら全てをひっくるめて3rd waveとひとくくりにしてしまうのは実に簡単なのですが、そこに関わる人々の思いはきっと千差万別であり、どのカフェも己のあり方を自由に追求するアメリカ人の文化・気質そのものが体現されているのだと感じました。

特にこのシアトルでは、スターバックスという巨人が、その店舗を見渡す限り、そこかしこの場所に展開しているがゆえに、そうではない、自分には自分なりのコーヒーの楽しみ方を追求したいという様々な個人プレーヤーを育んでいったのではないかと感じられます。

今回のカフェ巡りで感じたその気質は、「スペシャルティコーヒーを取り扱うならば、こうでなければならない」という定義的なしばりや観念から我々を解放してくれ、今後このコーヒーネットワークではもっと自由に、もっとこんなのがあってもいいんじゃないか?という遊び心の詰まった運営をしていきたいという動機づけにつながったとも言えます。
今後もますます進化するコーヒーネットワークに、是非ご期待下さい!